おかしくはないです

嫌いな言葉は「多幸感」

年始のご挨拶と2017年ベスト10映画

明けましておめでとうございます。

めでたいかどうかはちょっとかなり怪しいですし、2018年はやばそうな予感がプンプンしますが、生きていくだけでプロテストになると信じてやっていきたいです。 2017年よかった映画を思い出せるだけベスト10的にメモります。良かった順とかではなく思い出した順です。

スパイダーマン ホームカミング

 えっこれをマーベルのヒーロー映画でやれちゃうの!?という腰抜かし体験。面白すぎるし繊細なドラマを繊細なまま描くということを可能にしたトム・ホランドの圧倒的な描写力にただただ負けた感。

午後8時の訪問者

死を語る際に必ず漏れてくる人間の欺瞞をどう拭い去るか。目の前の死を引き受けることでまっすぐに見つめることを可能にした峻厳な語り口。私は卑怯だ、そうだなその通りだな、そしてそんな言い訳は、もう飲み込んで無いものとして振る舞え、と言われた気がした。

沈黙

公開後の日本での反応も含めて、スコセッシの信仰の切実さとこの国の宿痾との対比を見た思い。伝道者の傲慢と排他的な者たちの暴虐は相対化されることなくどちらも罪として、弱き者にのみ襲いかかる理不尽。その構造すべてが神を求める心性の説明となっている。

ザ・コンサルタント

見えていない私たちの見えている世界は見えていない部分のほんの一部でしかなく、見えていない世界に溢れた必然が見えている世界には奇跡として現出している、という発見。抽象芸術も、数字の秘密も、あの人のちからも。

人生はシネマティック!

人為的で人工的な物語を愛する私たち、そうではない私の人生、でも映画を見るその意味。女性が映画を見つけ、映画が女性を見つけるその理由は戦争とたくさんの死。悲しいあらわれ方をしたそれはしかし、書く意志、書かねばならぬほとんど天命にも似た衝動によって、美しい論理とカットとなってもう一度あらわれる。

・ムーンライト

生きるってことは、つねに泣き出しそうでいることなんだよ、とでも言いたげな月の明かり。恋は美しい、だからこの人たちをどこまでも美しく撮るんだよ。その強固な意志はやはり文学的である。むちゃくちゃマッチョな人を見ると、この人もプロテインちゃんと飲んでるんだよなあと思うようになりました。

ローガン

ここにはなにもない、ただ老いだけがある。老いは悪いことではない、しかし老いが死を恐れて牙を剥いたとき、あなたたちは逃げ出しなさい、ここにいてはいけない。それを老いた者が語る勇気に頭を垂れる。

・ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦

テロは無意味だ、メッセージを伝えたいなら暴力で訴えてはならない。ふむ、それは正論だ、その論理は守るべきものだ。でもね、あなたたちは私たちがこうするまで助けてくれなかった。それもまた、事実なのだ。ただただ申し訳ない気持ちになる。

・皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

ヒーロー映画っていうものがよくわからなかったけどこの映画一本見れば我々がヒーロー映画に何を求めるのかが一目瞭然。物語を生きることはできずとも、物語の教えてくれたことを実践することは意味がある、その二つは全然、全然違うことなのだ。

哭声

聖書を書くんだ!弟子ならば、福音書を書くんだ!というナ・ホンジンの筆致は現代の韓国でイエスの復活を待ち望むことの難しさとそれでも信仰を告白したるでという熱い気持ちに溢れている。次の公会議が待ち遠しいね。

「私は、ダニエル・ブレイク」も入れたかった。食糧配給所のスチールラック越しに見えるあのシーン。今年はたくさん書きたいです。何でもかんでも。