おかしくはないです

嫌いな言葉は「多幸感」

【ジュリーと恋と靴工場】パリ、靴、恋=ル・シネマ商法(濡れ衣)

ル・シネマ枠という考え方がある。Bunkamuraル・シネマでかかるような映画好きマダムたちに向けてのパッケージで、タイトルにはふんわりとしたイメージを孕む単語の文字が躍る。「パリ」とか「花」とか。「靴」とか。あと文芸系の作品。ブロックバスターとは縁遠いこれらの映画を、ささやかに上品に届けてくれる。問題はけっこう中身が宣伝からはわかりにくくなることだけど、これはル・シネマ映画に限らず古くから多くの配給会社がやっている。一時期ちょっと炎上した「未来を花束にして」の邦題のつけ方もこの文脈で説明できる。でも今調べたら別に「未来を〜」はル・シネマでやっていたわけじゃないので完全に濡れ衣だった。ごめん。この「ジュリー〜」も新宿ピカデリーで観たので二重に濡れ衣だ。でも言いたいことはわかってほしい。血が出たり悲しかったりするシーンはできるならば見たくない映画好きの方というのは一定数というか劇場に足を運ぶ割合としてはかなり多く存在するのだ。そしてそういう人のおかげでヨーロッパのおしゃれ映画が観れたりするのだ。

ジュリーと恋と靴工場」はミュージカル仕立てのフランスの靴工場のお話だが普通につまんなかった。久々につまんない映画を映画館で見た。この映画をル・シネマ商法で売ったろうって攻めてきたGAGAの力技には恐れ入った。職人たちがプライドを持って靴づくりをしている老舗の工場がメイドインチャイナに負けて閉鎖されちゃう!どうしよう!っていう話なんだけど、「キンキー・ブーツ」みたいな展開を期待するんだけど、主人公のジュリーは靴職人じゃなくて「正社員になりたいガール」なので画面の隅でコソコソしてるだけ。肝心のミュージカル部分もちょっとつらくて、ミュージカル映画なのに「ああ〜歌いださないでくれ〜」って警戒してた。最後の方は。

唯一の気づきは、フランスも大変なんだな……いや日本も相当だけど、悩みの中身は結構おんなじなんだな……ってことくらいかな。「お金がないので履歴書に書ける趣味はウォーキングくらいです」って……。結末もなんかすごくビター。アメリカ映画とかに見られる「これが成功じゃ!成功のモデルケースじゃ!」みたいなものが、日本映画にもあまり見られないように、そういえばフランス映画にもあんまないよね。