おかしくはないです

嫌いな言葉は「多幸感」

【カーズ クロスロード】年老いる車

まさかのテーマかぶり。『ローガン』とかと。アメリカどんだけ老いてるんだ。日本の方が明らかに老いているのに。もっとやばい状況の国があるんだぞ。

『カーズ』シリーズは作品と商品展開が妙な関係にある、というか、作品の内容自体(1作目は完全にノスタルジーが主題)と<ディズニーでは貴重な男児向けマーチャンダイズに適したキャラクター>って部分の齟齬がすごくて、作品にもその齟齬が影を落としているように思える。スピーディで大騒ぎなレースシーンと次世代カーの出現とマックイーンの葛藤と、生き物が全て車であるっていういまいちハッキリしない世界観。なぜ新チャンピオンが早いかというと、「エンジン性能と空力がすごい」みたいなことなのかなと映像を見て判断するけど、結末まで見るとそんな感じでもなさそうだし。そもそも前作でF1カーと対決してたし。マックイーンの師匠であるハドソンよりも年上の車が出てくるけどピンピンしてる。ということはボイスアクターの死のみが作品内の車の死をもたらす?謎は深まるばかりである。テーマにも共感できるし、脚本の深みはそのテーマを描ききっているけど、別のところでつまずいてしまう。

寂れた街ラジエータースプリングスで展開される前々作、世界中のいろんな街を飛び回る前作と、なんだかんだで人工的な風景の中で走っていた車たちは今回は海辺や泥、森の中など自然の中を楽しげに駆け回る。あまりによくできすぎてて実写と見紛うばかりで逆に深みを損なっていた前作までの背景と比べると、柔らかで汚れのうかびあがる景色は陰影ある車の美しさを際立たせている。人生の目標であるレースへと向かう物語なのはわかるけど、これだけ車の生きる自然の美しさを丹念に描いてくれるのなら、広がる世界の姿をもっと見せてほしかったなあと思う。