おかしくはないです

嫌いな言葉は「多幸感」

【ハクソー・リッジ】日本人は勘定に入れません

デズモンドさんの初デートが超ッッッ嫌悪感でもう全然好きになれない。映画見てても女の方見てニヤニヤして話しかけてくる(まあこのころのニュース映画は家でテレビ見る感覚なんだろうけど)のも、いきなりキスして「いや、キスしたいのかと思って」、山登り手伝って登れないってヘルプ求めたら「助けてあげるけど代わりにキスね」……!そもそも結構な大怪我した人を助けて病院に運んだ先で好みのタイプの女性がいたら速攻ロックオンしてナンパすんのもスッゲーやだ。献血をダシにする感じも最高にやだ。そしてメルギブがこの辺をわざとやってるのかどうかわからなくて怖い。でも変態をこの年まで貫くってことはこういうことなのかな。アンドリュー・ガーフィールドの「ニヤニヤ+自分の感情にしか興味ない」っていうのは映画を通してデズモンドの行動原理として機能しているので自覚的にやってんのかなあとは思うけど最終的には武器を持たずに多くの米兵を助けたこの実在の兵士の偉さ!というまとめ方なのでなんとも言えない。でも、デズモンドさんがなぜこんな偉業を成し遂げられたか?っていうか偉業なのか?みたいな話の納得のさせ方に「やべーやつだったから」という手段を選んだのならすごいことだと思う。プロだ。

デズモンドさんがやべーやつなせいで<(米兵の命=助ける=1)+(崖の上に日本人が!=撃つ=1)=命の勘定+2=感動無限大>みたいな残虐算数の成立も「デズモンドさんがやべーからしょうがねえか……」ってなるし。この算数が成立してしまう状況を作ってしまうものこそ戦争であり戦争の恐ろしさってことならやっぱり戦争は良くない。どう考えても良くない。

沖縄戦の資料映像で、非戦闘員が隠れる壕に火炎放射っていうものを小学生の頃けっこう見たけど、アメリカ側からすれば苦いう状況だったんだからしょうがないじゃん、ということなのかもしれないけど、やっぱり私はそこに思いを馳せたい。偉い人の切腹でお茶を濁されたからなおさら。

感動大作じゃなくて狂気の器としての戦争とそこで輝きを得る狂人の話だ。そして映画はそれを美しく描く権利を持っていることは、否定してはならない。そこをどう評価するかが、観客に委ねられている限りは。