おかしくはないです

嫌いな言葉は「多幸感」

The Winner Takes It All〜プロレスは勝者総取りの時代へ〜

新日本プロレスG1LA大会が大人気となんと地上波のテレビで言っていた。しかもフジテレビとかそのへん。どうせ現地の特派員がプロレス好きなんだろうと思ったがそれでもすごい。もう完全にアメリカのプロレスファンにとっては新日=日本のプロレスだ。だってネットで定額で生配信してるから。WWE Networkをお手本にしたおかげで過去の藤波前田戦とかも見られるし。そりゃ加入する。

新日=日本のプロレス説としての傍証の一つに先日のスマックダウンのPPVでの解説、中邑真輔初登場の際の解説で「キングオブストロングスタイルの中邑真輔がいよいよ登場です」「ふむ、そもそもストロングスタイルとはなんなんですJBL?」「一言で言ってしまえば、猪木、三沢、小橋のようなスタイルのことだね」と言ってたことがある。大ズッコケする私。

かねてから薄々気づいてはいたのだが、どうやらアメリカのプロレスファンは四天王プロレスのことをストロングスタイルだと思ってるっぽい。後楽園に来ている海外からのお客さんと思しき人と話していると「やっぱコバシだよね」「ミサワはすごいよ」とこの二人の名前は必ず出てくる。あとブル中野

げに恐ろしきは猪木のワードパワー。ストロングスタイルという言葉を発明したおかげで、それはあまりにも海外でもなじみやすいわかりやすさを持つがゆえに、なんと全日の遺伝子が生み出した四天王プロレスの功績すら簒奪してしまったのである。アメリカのファンの間では〝日本のプロレス=新日本プロレス=ハードなスタイルのプロレス=ストロングスタイル(=四天王プロレス)〟という図式が成立してしまっている。しかしこの勘違いを正すすべはない。なぜなら海外に発信しているプロレス団体は唯一の勝者である新日本プロレスだけだ(と言っていいだろう)からだ。

勝者総取りの時代である。WWEがECWなど他のあらゆる団体を駆逐し、吸収し自らの一部として選手だけでなくそれらの試合映像をWWE Networkで自社コンテンツとして発信しているように、日本の90年代以降のプロレスの功績は新日本が全て所有している状態が発生している。今までも強い団体や流行っているジャンルに選手が流れることは多々あったが、プロレスでもっとも大切とも言える文脈までもがメディア的強者のもとに流出していってしまっている。

まあ新日本頑張ってるしいいんじゃない?と思うかもしれない。しかし勝者は常に明日の敗者になりうる。日本国内では女子プロレスは混戦状態と言えるが、海外に発信しているという意味では知名度ではスターダムが圧倒的に勝者だ。しかしスターダムにレギュラー参戦していた外国人選手はトニ・ストームを始め軒並み、今度開催されるメイ・ヤング・クラシックのトーナメントに出場し、挙げ句の果てには宝城カイリ移籍である。

そんな視点でWWEを見てみると、今の、ドラフト後のスマックダウンなんかは明らかに日本のプロレスのスタイルを意識しているのだよね……。そして女子部門の圧倒的な華やかさ。ペイジはいなくなったけど、明らかにディーバ革命は成功を収めている。
猪木の夢見た、グローバルな戦いのフィールドとプロレスの真の強さを証明する世界は、今この時代に到来しつつあるのではないかなあ、としみじみ思うのである。