おかしくはないです

嫌いな言葉は「多幸感」

【キングコング 髑髏島の巨神】髑髏島の戦い

もちろんプロレス映画だ。

コングは最強にして孤高のレスラー。その怪力で木を切りまくっていたアンドレ・ザ・ジャイアントを彷彿とさせ、まだどのプロモーターにも発見されていない髑髏島の神秘。
優しく正義感の強いコングは島の秩序を守る神にも似た存在として君臨し、理不尽な破壊を生み出す怪物をその手で成敗する。ときに傷を負い、ときにタコを食い、その野趣とつぶらな瞳とシワシワでツヤツヤの鼻先で見るものを魅了する。そんなコングと出会ってしまったちっぽけな人間どもよ。
ラストの戦い、ノーDQマッチ(反則がない試合)なのをいいことに噛み付き攻撃を繰り返すオオトカゲ。『ヘラクレス』のロック様なら上顎と下顎をつかんで真っ二つという戦法も取れたのだが、怒りのコングがとった選択肢は凶器攻撃だ。そう、反則には反則を。リングにあるものすべてを使って観客を驚かせてこそ真のレスラーと言えよう。大きなもの、強いものが圧倒的な質量と暴力と創意工夫で存在を誇示する瞬間の興奮に優るものはない。

一方で、髑髏島の脅威はベトナム戦争におけるベトナムのひとびとでもある。危険なぞ何もないとベトナムの地を舐めくさっていた米兵は大切な戦友をひとりまたひとりと失っていく。文明を知らぬ野蛮な化け物め!と怒り狂うマザファッカ隊長。しかし本当にそうだろうか?という絶対必要な視点も欠かさない、ベトナム戦争映画のある種のスタンダードもきちんと踏襲しているので安心設計。ヘリから望む走り去る兵士の姿なんかほとんどデジャヴ。