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おかしくはないです

嫌いな言葉は「多幸感」

【神様メール】神「俺の右に立つな」

旧約の神は怒りの神だよっとキリスト教概論の授業でざっくり説明された経験がある人もいると思うが、これって対外的に通りがいいってだけで実際は何も言っていないに等しい。だってそんな、新約だろうと旧約だろうと同じ神だし。旧約の中で生じるあれやこれやが割とひでー出来事が多いのできっと神様は怒ってるに違いないって思うのだろうが、そもそも神って喜怒哀楽とかあんの?って話もある。「神はその独り子をお与えになるほどにこの世を愛しておられた」というのはイエスの生涯を読み通す上で割と親切なガイドラインだとは思うけど、そもそも神って親子の情とかあんの?って話もある。
この映画の神様は最初にブリュッセルを作ったし人間より先に鶏とかキリンとかを作ってるので、厳密には聖書の神ではない。一言で言うと飲んだくれのDV親父であり、主人公である神の娘エアにとっては<生まれた時にすでにあった理不尽>そのものの姿である。同じ理不尽が家の中にいる人たちは多分とってもたくさんいるし、親ってだいたい理不尽だよねとも思うからみんなにとっての共通体験でもある。この映画の中での神というのは、望んだわけでもないのに先に出来上がっててなんだか知んないけど従わないといけない理不尽そのもの。労働とか結婚とかなんかしないといけないことになってるいろいろ。病気とかもね。
で、世界最強の巨大な理不尽として人間の前に立ちはだかっているのは〝人はみんな死ぬ〟という避けられない事実である。子供の頃はフリーザが不老不死になりたいって言っても「いつまでも若くいたいってことなのかな。若さ大事」とか思ってたけど、大事なのは不死の方なんだよね実は。死ぬの、こわい。誰も死んだ後のこと知らないし。で、不死が叶うなら年老いないほうがいいよねっていうくらいの意味での不老不死にしてくれ、ってわけで、フリーザも死ぬのがこわいことであるっていう事実からは逃れられないわけなんだなあ。
だから神様が超卑怯だとされる理由に、「死に関する情報を独占している」ことがある。でも死って個人個人のものじゃん、オープンにしようぜっということでエアはみんなの余命を送る。それに伴って、人間たちは他のいろんな理不尽やルールのことも気にせずに自由に生きるようになる。セックスしたい殺したいゴリラとだって恋したい。それで世の中が崩壊する?悪くなる?別にならないよ、という映画です。お花が空中に飛んだり手がスケートしたりのファンタジー部分はポワポワしすぎてちょっと興ざめするし、いかにも男性的な脚本の運びはもやもやしたなあ。
とりあえず、死んだ後も界王星でのんびり暮らせるから、悟空だって人非人みたいになるという説も浮上した次第。