おかしくはないです

嫌いな言葉は「多幸感」

【マネー・ショート】身の丈に合った腸洗浄

家を買って買った家を担保にしてさらに家を買って資産は無限に増えていくぜ、という幻想はいちばん最初にそもそもノー資産で家を買った事実の前では完全に虚妄でしかないわけで、無責任な不動産屋やその上にいるさらに無責任な証券会社にうまく乗せられてしまった人たちを見て真っ先に思い浮かぶ教訓は「身の丈に合った生活をしなければいけないな」なのだけれど、じゃあ今、先進国(もうすぐそうでなくなるだろうけど)での文明化された生活が身の丈に合ってるか? と考えた時、大変非常に、怪しい限りなのではないか。

綺麗な水。気温をコントロールできる部屋。あたたかい食事。これら全てが果たして、今の働きに対して正当に得られている見返りなのか? 私たちは食べるものを得る為に土を耕しているわけでもなければ家を実際に建てているわけでもないしその土地を所有している根拠はよくわからん所有の概念を持ち出した社会に対してお金を払ったっていうただ一点だけなんだよ、とか思えてくる。もちろんこんなのは過剰な被害妄想でしかないのだろうけど、けっきょく一つの問題を突き詰めていくとその原因は果てしなく広がっていってしまって、罪に問われなかった人たちは問題意識の設定が単に多数派が考えるそれよりもほんのちょっとだけ狭かっただけだったのだろう。そしてその問題意識はプロデューサーたるブラピがプロデューサーらしく、ささやき声で小さく主張はしているのである。その態度がいわゆるロハスとしてバカみたいに見えるし実際にバカであることも含めて。

映画は徹頭徹尾くらいにコメディで、ずっと笑えるやつでした。タルムードにさえ文句を言わないと気が済まないユダヤの爆発おじさんスティーブ・カレルがとってもいい。時系列(というよりももっと細かい時間の流れ)を巻き戻したり早めたりする編集は、この映画が〝再現されたドキュメンタリー〟であることを知らせていて、事実とフィクションを受け取る時の姿勢の違いをまずは自覚してね、とでも言いたげだ。