おかしくはないです

嫌いな言葉は「多幸感」

【イット・フォローズ】セックスはこわい(理由はいろいろ)

面白設定ホラーだと思ってたし実際面白設定ではあったんだけど、その面白設定が割と深刻な暗喩的なやつだったし音楽とか画面作りが『サスペリア』くらいの時代感覚なので、作り手は真面目な人たちや!と映画館の暗がりで驚いた次第。青春の蹉跌を真面目に描いてて、「セックスで伝染する〝それ〟」はそのために導入された手段なんですね。その証拠に、セックスを扱うホラー映画な割には出てくるキャラクターはえらくナードな雰囲気で、主人公の女の子だけはモテるふうの雰囲気を醸し出しているけど、そのせいでちょっと異物感すら感じさせるなど設定もちょっと最先端。

若かりし頃はもう本当セックスって得体が知れなさすぎて友人たちと映画やら漫画やら小説ベースで出来上がったセックスそのものの二次創作みたいな会話を交わすものの、いざセックスの実態に向き合ってみるとその二次創作とは全然違うわけで、ままならないし意外とつまらないことも多い。でも、我々が友人たちと構成する社会に流通させることができるのは、二次創作のセックスの方だけだったりする。で、そのズレを一致させる唯一の手段は、会話を交わす相手とセックスをしてみるのが一番手っ取り早かったりする。もちろんそんなことをする必要性は全くないし、セックスなんてそんなにこだわるようなものでもないんだけど、得体が知れないうちのセックスの魔力というか支配力の半端なさは、そのまま大人になることへの得体の知れなさとイコールなのかもしれない。

だからこそ、得体の知れないいつ終わるかもわからない生きていく怖さや途方もなさに立ち向かうためのとても切実な手段として、あの結末は唯一のものだったのだろうし、〝それ〟は生きてる限りずっと私たちを追ってくるんだよ、と容赦がないけど、もしかしたらそれは救いなのかもしれない。

ホラー映画としてみると、一番盛り上がる直接対決が消化不良でムムム感は残るかも。あとは屋根の上に全裸のおじさんが立ってたら、〝それ〟の可能性があるよ!という問題提起には震えた。