おかしくはないです

嫌いな言葉は「多幸感」

【おとなの事情】告発されるふたつの抑圧

なかよしな3組の夫婦と離婚ほやほやのひとりの男、7人がホームパーティ的な夕食の場で「今だけスマホをオープンにしよう。メールが来たら読み上げる。電話が来たらスピーカーフォンで話す」という地獄のようなアイディアを実行に移し案の定地獄のような状…

【キングコング 髑髏島の巨神】髑髏島の戦い

もちろんプロレス映画だ。 コングは最強にして孤高のレスラー。その怪力で木を切りまくっていたアンドレ・ザ・ジャイアントを彷彿とさせ、まだどのプロモーターにも発見されていない髑髏島の神秘。優しく正義感の強いコングは島の秩序を守る神にも似た存在と…

【ラ・ラ・ランド】夢だなんだと言うやつは

『セッション』が全然ダメだったので心の準備は欠かさなかった。とはいえパワハラがテーマだった『セッション』と比べてかなり見やすいし、楽しく見れました。デイミアン・チャゼルis同い年(……)なので、言いたいこともちょーわかる。チャゼルは上の世代に…

スターダムを見た話

プロレスを見に行く時にいつもいるのはわたしの体だ。一人で行くこともあるし、誰かと二人で行くこともあるし、たくさんの人と一緒に行くこともある。たくさんの人の顔ぶれは常にいろいろだけれども、そこに常にわたしがいることは変わらない。当たり前のこ…

【哭声】ハッピーイースターフロム國村隼

いいタイミングでの公開だなと思う。もうすぐイースターだ。復活祭。イエス・キリストが蘇った日だ。この映画もそういう話だ。えらく宗教的な映画である。類似品としては『エクソシスト』最近だと『死霊館』。悪魔がいるし神もいる。でもそれらの作品よりも…

【マグニフィセント・セブン】多様性がもたらす筋肉

筋トレしてると自分がモンゴロイドの女性だとつくづく思い知らされる瞬間がある。何度負荷をかけても細いままの腕。差別を区別とのたまう下劣な人々の顔が頭をよぎる。 で、この映画のイ・ビョンホンだ。彼が教えてくれたことは、私はあまりにも偏った筋肉の…

【ドクター・ストレンジ】あんまりですよ師匠

傲岸不遜な医者が西洋医学に絶望して東洋に赴きLSD的なぶっ飛びトリップ体験をして目覚める話っていうとニューエイジかよって話なんだけど、肝心のLSD体験が完全にサイケ祭りだったので多分に自覚的。そっちの道は危険やぞ。 日本のフィクションにおける〝魔…

後楽園ホールにて

後楽園ホールはずいぶんあかるい 真ん中を決めるレスラーの背中の水面は星空をうつしてやたら眩しい きれいな空気を吸うのは体に悪いと知っている人たちしかいないから 首は肩まで半分以上埋まって鍛えた肉体に溺れている ずいぶんあかるい後楽園ホールはき…

ニューダンガンロンパV3はやりたいことはわかるし共感もするけどさというネタバレ感想

なんだかんだで1からちゃんとやってるけど2の続きがアニメでしかもお話はアニメで完結って!と先週くらいに知って私はメディアミックスの犠牲者となったのだ。なので3からやっても安心、と思ったら基本、1と2やってる前提の話だった。こういうゲームのシリー…

バイオハザード7はVRで遊んだほうがいい名作ホラー傑作選

『バイオハザード』シリーズのおかげで見られた映画っていっぱいあるよなとふと思う。ロメロの新作とかモロにそうだし、『ドーン・オブ・ザ・デッド』のオープニングという最強エロ映像が見られたのもバイオのおかげだと思っている。あの、サラ・ポーリーが…

【沈黙】プラクティカルクルーエルピープル日本人

日本人はほかの宗教に寛容なんです、なんて言ったって多神教の国ですからね!と異常な頻度で聞かされ続けた近代。もちろんそんなことはないし、とびっきりに残虐で暴力的なおこないの数々など歴史修正主義者たちが「なかった」と言いたがるいくつもの事象に…

ファイナルファンタジー15が面白かったという話

10年の開発期間を経てグダグダな感じで世界同時発売された最新作。ラッピング電車の広告をとってたのに発売延期で電車だけが走る光景には諸行無常を感じざるをえなかったが、仕事というやつは基本的には大変ってことはさすがにこの年だとわかるので、笑って…

【バイオハザード ザ・ファイナル】魔法の言葉それは You are fired.

東京ゲームショーを王様のブランチが取材していた。FF15を紹介する段になると、プロデューサーは申し訳なさそうにこう言った。「15とはいうもののお話は続きではなく単体で楽しめますので宜しくお願いします」。そうか、ブラン娘(ブランコと読む。ブランチ…

12.3NXT大阪公演〜中邑真輔ありがとう〜

新日本プロレスのインターコンチネンタル王座は、強さのベルトではなかった。白くなってからのあのベルトが象徴するものはスタイルであり、かっこよさであり、生き方だった。そして、中邑真輔のベルトでしかなかった。たぶん、今もだ。そんなベルトが何年間…

【ソーセージ・パーティー】奴らが殺しにやってくるのは必然

擬人化がたいそう苦手だ。しかしむちゃくちゃ流行っている。最近はそうでもないのかな。まあいずれにせよ驚くほど苦手なので本屋やネットのそういう情報をひたすら避けている。 擬人化、特に日本の擬人化は、作品世界では人間の存在(擬人化される際のモデル…

【ジェイソン・ボーン】エンプティ・アイデンティティ

俺は誰だと問い続けて三部作を走りきっていちおう俺はあいつで今はこいつと決めつけることができたジェイソン・ボーンの物語はしかし、何か大きな力によって引き伸ばされて続いてしまった。そして当然ながら、ハッピーエンドで終わったはずの物語が続いてし…

【日本で一番悪い奴ら】仕事とは適応すること

ぜんっぜん有能じゃないのにやたらと出世している人がいる。そういう人をよくよく観察すると、その人が属している組織に異常なほど適応している場合が多くて、まあその組織の中の人だったら人事いい仕事したね、って感じなんだけど、いっしょに仕事する、な…

【orange】親の生死は守備範囲外

WOWOWにて鑑賞。 歴史改変ものの少女漫画と聞いて想像してた内容とはずいぶん違ったなあ。改変ものにありがちな「予見される危機をどのようにして回避するか」は主人公の土屋太鳳さんの眼中に全然なくて、いかにして翔という同級生の気持ちを盛り上げて精神…

【クリーピー 偽りの隣人】君を守るとか言う男にろくなのはいない

うう〜〜〜ん。合わなかったなあ。迷宮入りしてしまった事件を退職刑事の大学教授が再捜査、ということは犯人の手口に警察の目をくらます何かがあったんだろうなあとはじめは思わせるんだけど、ちょっと警察が……その……警察が無能ということは現実の事件なん…

【帰ってきたヒトラー】ボラット2.0

ぎょえー。とんでもないものを見た。 ドイツでベストセラーになった同名原作の映画化ですが、原作がヒトラーのモノローグで語られるフィクションであるのに対し、映画は半分ドキュメンタリー仕立て。役者だけが演じるドラマパートと通行人のヒトラーに対する…

【10クローバーフィールドレーン】続編ではない

続編じゃなかった。なかったよ。本当に全然続編じゃなかったよ。 新人監督っちうことでまー真面目にエピソードを積み重ねていくけど特に外連はなくてえらくフラットに見えてしまうやつ。プレッパーに監禁されてしまったサスペンスと、そのプレッパーの言葉は…

【シチズンフォー スノーデンの暴露】我らはディックを生きている

自分がそういう妄想に襲われたときのために集団ストーカーの体験談を結構読むのだけど、当たり前な話として当事者はもうすんごい苦しい状況に置かれていると感じているわけで、ググればいくらでも同じ体験をしている人が出てくるわけだから、調べれば調べる…

【マネーモンスター】テレビはすごいぞえらいんだぞ

面白かったです。オールドスクールというか手堅い作りのサスペンスで、ちゃんとハラハラしつつ色んなエピソード同士が繋がって真相は……ああっそうこう言っているうちに警察が突入しようとしているどうしようハラハラ、みたいな。ただその色んなエピソードの…

【サウスポー】娘は娘で妻は妻

邦画をあんまり好んで見ない理由の一つに、どんなに熱中して鑑賞しててもフィルムに染み付いたジェンダー観に突然足払いをされて鼻の骨を折るくらい大怪我して結局その日いちにちが不愉快なものになってしまうことが結構頻繁にあるからというのがある。 その…

【神様メール】神「俺の右に立つな」

旧約の神は怒りの神だよっとキリスト教概論の授業でざっくり説明された経験がある人もいると思うが、これって対外的に通りがいいってだけで実際は何も言っていないに等しい。だってそんな、新約だろうと旧約だろうと同じ神だし。旧約の中で生じるあれやこれ…

【ズートピア】善きサマリア人、親切なキツネ

まずもう冒頭のワクワク感、一匹のまっすぐなウサギが努力して努力して憧れの土地へ行ったんだよ〜努力すごい、この主人公のこと好きになったでしょ? という鮮やかさにすでに泣いていた。 画の力で状況説明と感情の持って行き所をコントロールするディズニ…

【がむしゃら】無邪気な二次加害

「プロレスってやらせなんでしょ?」と言われても即座に否定できるプロレスファンでも、プロレスの観客が孕む加害性はおそらく否定できないと思う。どれほどもっともらしく足から力が入らなくなるか、どれほど首がやばい角度で刺さるか、そういう部分で選手…

【マネー・ショート】身の丈に合った腸洗浄

家を買って買った家を担保にしてさらに家を買って資産は無限に増えていくぜ、という幻想はいちばん最初にそもそもノー資産で家を買った事実の前では完全に虚妄でしかないわけで、無責任な不動産屋やその上にいるさらに無責任な証券会社にうまく乗せられてし…

【アーロと少年】サークル・オブ・ファミリー

大水にいろんなものが飲み込まれるシーンがあるんですけど津波じゃないから注意喚起されないっつーのも不思議な話ではあるなあ。 何もかもが古風で恐竜の社会の仕組みもよくわからないままゆるゆると話は進み、『トイ・ストーリー2』のあの尋常じゃない脚本…

【美術館を手玉にとった男】文化に復讐しにきたぜ

連合赤軍の本を読んでいて、そのうちに大塚英志の『「彼女たち」の連合赤軍』に行き着いたわけだけど、彼は大江健三郎のノーベル文学賞の受賞スピーチでサブカルチャーが切り捨てられたことをひどく寂しそうに語っていて、でも80年代に生まれた私にはそもそ…