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おかしくはないです

嫌いな言葉は「多幸感」

スターダムを見た話

プロレスを見に行く時にいつもいるのはわたしの体だ。一人で行くこともあるし、誰かと二人で行くこともあるし、たくさんの人と一緒に行くこともある。たくさんの人の顔ぶれは常にいろいろだけれども、そこに常にわたしがいることは変わらない。当たり前のこ…

【哭声】ハッピーイースターフロム國村隼

いいタイミングでの公開だなと思う。もうすぐイースターだ。復活祭。イエス・キリストが蘇った日だ。この映画もそういう話だ。えらく宗教的な映画である。類似品としては『エクソシスト』最近だと『死霊館』。悪魔がいるし神もいる。でもそれらの作品よりも…

【マグニフィセント・セブン】多様性がもたらす筋肉

筋トレしてると自分がモンゴロイドの女性だとつくづく思い知らされる瞬間がある。何度負荷をかけても細いままの腕。差別を区別とのたまう下劣な人々の顔が頭をよぎる。 で、この映画のイ・ビョンホンだ。彼が教えてくれたことは、私はあまりにも偏った筋肉の…

【ドクター・ストレンジ】あんまりですよ師匠

傲岸不遜な医者が西洋医学に絶望して東洋に赴きLSD的なぶっ飛びトリップ体験をして目覚める話っていうとニューエイジかよって話なんだけど、肝心のLSD体験が完全にサイケ祭りだったので多分に自覚的。そっちの道は危険やぞ。 日本のフィクションにおける〝魔…

後楽園ホールにて

後楽園ホールはずいぶんあかるい 真ん中を決めるレスラーの背中の水面は星空をうつしてやたら眩しい きれいな空気を吸うのは体に悪いと知っている人たちしかいないから 首は肩まで半分以上埋まって鍛えた肉体に溺れている ずいぶんあかるい後楽園ホールはき…

ニューダンガンロンパV3はやりたいことはわかるし共感もするけどさというネタバレ感想

なんだかんだで1からちゃんとやってるけど2の続きがアニメでしかもお話はアニメで完結って!と先週くらいに知って私はメディアミックスの犠牲者となったのだ。なので3からやっても安心、と思ったら基本、1と2やってる前提の話だった。こういうゲームのシリー…

バイオハザード7はVRで遊んだほうがいい名作ホラー傑作選

『バイオハザード』シリーズのおかげで見られた映画っていっぱいあるよなとふと思う。ロメロの新作とかモロにそうだし、『ドーン・オブ・ザ・デッド』のオープニングという最強エロ映像が見られたのもバイオのおかげだと思っている。あの、サラ・ポーリーが…

【沈黙】プラクティカルクルーエルピープル日本人

日本人はほかの宗教に寛容なんです、なんて言ったって多神教の国ですからね!と異常な頻度で聞かされ続けた近代。もちろんそんなことはないし、とびっきりに残虐で暴力的なおこないの数々など歴史修正主義者たちが「なかった」と言いたがるいくつもの事象に…

ファイナルファンタジー15が面白かったという話

10年の開発期間を経てグダグダな感じで世界同時発売された最新作。ラッピング電車の広告をとってたのに発売延期で電車だけが走る光景には諸行無常を感じざるをえなかったが、仕事というやつは基本的には大変ってことはさすがにこの年だとわかるので、笑って…

【バイオハザード ザ・ファイナル】魔法の言葉それは You are fired.

東京ゲームショーを王様のブランチが取材していた。FF15を紹介する段になると、プロデューサーは申し訳なさそうにこう言った。「15とはいうもののお話は続きではなく単体で楽しめますので宜しくお願いします」。そうか、ブラン娘(ブランコと読む。ブランチ…

12.3NXT大阪公演〜中邑真輔ありがとう〜

新日本プロレスのインターコンチネンタル王座は、強さのベルトではなかった。白くなってからのあのベルトが象徴するものはスタイルであり、かっこよさであり、生き方だった。そして、中邑真輔のベルトでしかなかった。たぶん、今もだ。そんなベルトが何年間…

【ソーセージ・パーティー】奴らが殺しにやってくるのは必然

擬人化がたいそう苦手だ。しかしむちゃくちゃ流行っている。最近はそうでもないのかな。まあいずれにせよ驚くほど苦手なので本屋やネットのそういう情報をひたすら避けている。 擬人化、特に日本の擬人化は、作品世界では人間の存在(擬人化される際のモデル…

【ジェイソン・ボーン】エンプティ・アイデンティティ

俺は誰だと問い続けて三部作を走りきっていちおう俺はあいつで今はこいつと決めつけることができたジェイソン・ボーンの物語はしかし、何か大きな力によって引き伸ばされて続いてしまった。そして当然ながら、ハッピーエンドで終わったはずの物語が続いてし…

【日本で一番悪い奴ら】仕事とは適応すること

ぜんっぜん有能じゃないのにやたらと出世している人がいる。そういう人をよくよく観察すると、その人が属している組織に異常なほど適応している場合が多くて、まあその組織の中の人だったら人事いい仕事したね、って感じなんだけど、いっしょに仕事する、な…

【orange】親の生死は守備範囲外

WOWOWにて鑑賞。 歴史改変ものの少女漫画と聞いて想像してた内容とはずいぶん違ったなあ。改変ものにありがちな「予見される危機をどのようにして回避するか」は主人公の土屋太鳳さんの眼中に全然なくて、いかにして翔という同級生の気持ちを盛り上げて精神…

【クリーピー 偽りの隣人】君を守るとか言う男にろくなのはいない

うう〜〜〜ん。合わなかったなあ。迷宮入りしてしまった事件を退職刑事の大学教授が再捜査、ということは犯人の手口に警察の目をくらます何かがあったんだろうなあとはじめは思わせるんだけど、ちょっと警察が……その……警察が無能ということは現実の事件なん…

【帰ってきたヒトラー】ボラット2.0

ぎょえー。とんでもないものを見た。 ドイツでベストセラーになった同名原作の映画化ですが、原作がヒトラーのモノローグで語られるフィクションであるのに対し、映画は半分ドキュメンタリー仕立て。役者だけが演じるドラマパートと通行人のヒトラーに対する…

【10クローバーフィールドレーン】続編ではない

続編じゃなかった。なかったよ。本当に全然続編じゃなかったよ。 新人監督っちうことでまー真面目にエピソードを積み重ねていくけど特に外連はなくてえらくフラットに見えてしまうやつ。プレッパーに監禁されてしまったサスペンスと、そのプレッパーの言葉は…

【シチズンフォー スノーデンの暴露】我らはディックを生きている

自分がそういう妄想に襲われたときのために集団ストーカーの体験談を結構読むのだけど、当たり前な話として当事者はもうすんごい苦しい状況に置かれていると感じているわけで、ググればいくらでも同じ体験をしている人が出てくるわけだから、調べれば調べる…

【マネーモンスター】テレビはすごいぞえらいんだぞ

面白かったです。オールドスクールというか手堅い作りのサスペンスで、ちゃんとハラハラしつつ色んなエピソード同士が繋がって真相は……ああっそうこう言っているうちに警察が突入しようとしているどうしようハラハラ、みたいな。ただその色んなエピソードの…

【サウスポー】娘は娘で妻は妻

邦画をあんまり好んで見ない理由の一つに、どんなに熱中して鑑賞しててもフィルムに染み付いたジェンダー観に突然足払いをされて鼻の骨を折るくらい大怪我して結局その日いちにちが不愉快なものになってしまうことが結構頻繁にあるからというのがある。 その…

【神様メール】神「俺の右に立つな」

旧約の神は怒りの神だよっとキリスト教概論の授業でざっくり説明された経験がある人もいると思うが、これって対外的に通りがいいってだけで実際は何も言っていないに等しい。だってそんな、新約だろうと旧約だろうと同じ神だし。旧約の中で生じるあれやこれ…

【ズートピア】善きサマリア人、親切なキツネ

まずもう冒頭のワクワク感、一匹のまっすぐなウサギが努力して努力して憧れの土地へ行ったんだよ〜努力すごい、この主人公のこと好きになったでしょ? という鮮やかさにすでに泣いていた。 画の力で状況説明と感情の持って行き所をコントロールするディズニ…

【がむしゃら】無邪気な二次加害

「プロレスってやらせなんでしょ?」と言われても即座に否定できるプロレスファンでも、プロレスの観客が孕む加害性はおそらく否定できないと思う。どれほどもっともらしく足から力が入らなくなるか、どれほど首がやばい角度で刺さるか、そういう部分で選手…

【マネー・ショート】身の丈に合った腸洗浄

家を買って買った家を担保にしてさらに家を買って資産は無限に増えていくぜ、という幻想はいちばん最初にそもそもノー資産で家を買った事実の前では完全に虚妄でしかないわけで、無責任な不動産屋やその上にいるさらに無責任な証券会社にうまく乗せられてし…

【アーロと少年】サークル・オブ・ファミリー

大水にいろんなものが飲み込まれるシーンがあるんですけど津波じゃないから注意喚起されないっつーのも不思議な話ではあるなあ。 何もかもが古風で恐竜の社会の仕組みもよくわからないままゆるゆると話は進み、『トイ・ストーリー2』のあの尋常じゃない脚本…

【美術館を手玉にとった男】文化に復讐しにきたぜ

連合赤軍の本を読んでいて、そのうちに大塚英志の『「彼女たち」の連合赤軍』に行き着いたわけだけど、彼は大江健三郎のノーベル文学賞の受賞スピーチでサブカルチャーが切り捨てられたことをひどく寂しそうに語っていて、でも80年代に生まれた私にはそもそ…

【恋人たち】ジス・イズ・リアルジャパン

主演の俳優がブロック・レスナーあたりと戦っていた頃の中邑真輔に激似で目が離せなかった。ワークショップ出身の人ということでどおりで見かけたことがなかったはずだ(同監督の『ゼンタイ』は未見)、と思ったけど、別の監督ではどういう演技をするんだろ…

【サウルの息子】あそこで私が死んでいる

私の観測範囲では「サウルは偶然、自分の息子の死体を見つけ、息子の弔いに奔走する」みたいな紹介をあちこちでされているけど、違いました。違うと思うんだけど……。 何よりも、虐殺シーンの<目の前で行われている>感を確かめるためだけでも見る価値はある…

【ブリッジ・オブ・スパイ】海外出張はたいへん

海外出張は気候も環境も違う土地に行くわけでそこがすげー寒かったりしたらもう当然のように風邪くらいひきもする。もちろんクライアントはクソみたいなホテルしか用意してくれない。おまけになんか、交渉には直接関係のない別の団体が存在感を主張するため…

【イット・フォローズ】セックスはこわい(理由はいろいろ)

面白設定ホラーだと思ってたし実際面白設定ではあったんだけど、その面白設定が割と深刻な暗喩的なやつだったし音楽とか画面作りが『サスペリア』くらいの時代感覚なので、作り手は真面目な人たちや!と映画館の暗がりで驚いた次第。青春の蹉跌を真面目に描…

【さよなら、人類】そもそもゴドーを待ってない

スウェーデンの人はえらく顔色が悪いなと思っていたら「ゾンビみてえな歩き方しやがって」とセリフで言われてまあそうだよねと納得する。オムニバスとも呼べないくらいにばらんばらんに飛び散る〝成り行き〟としか言いようのない人々のやり取りは、意味を見…

【I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE】昔借りてきたビデオみたいに

「見たことある!」という体験が上映時間を終始支配して、つまり映画の中身はむかし、レンタルビデオ屋さんで借りてきたスヌーピーのビデオそのものだった。違う点は3DCGで作られているということだけど、肝心の絵自体の魅力はそれほどでもなく、EDで出てき…

【スター・ウォーズ フォースの覚醒】少女の神話は始まらない

<ジョージ・ルーカス=未来人>説を唱えては失笑を買う日々を過ごしている。映像に関連する商品の権利をがっちり押さえてキャラクター・マーチャンダイズの先駆者となったり、映画の撮影技術を自分の作品のために根本から変えたら世間一般に普及する映像の…

【サヨナラの代わりに】わたしはわたしですよ

人生はつまんないしそのわりには途方もない。死ぬのは怖いけど生きるのもめんどくさい。うまく生きるやり方がいろんな本には書いてあるのかもしれないけどわたし用のはどうやらなさそう。モラトリアムとか言って他人を批判してみせるけど誰かを裁こうと待ち…

【ハンガー・ゲームFINAL:レボリューション】生きてる人から届く手紙

レボリューションという邦題もなんのその、カットニスは絶対に世界を変えようとはしない。革命なんて手段でしかないのにそれを目的と誤解しちゃったら永遠に終わらない変化が目の前に生きている人をもうどんどん殺していくんだから、というのが、妹を助けた…

【リトルプリンス 星の王子さまと私】悪い奴がいないと世界を理解できない

だ、だめだった……。原作に思い入れがあるせいか後半のオリジナル展開がものすごく苦痛で、ふだんなら怒るところだけど思い入れが強すぎて落ち込むほどのやつ……。 おはなしはメインとなる少女の成長譚のCGパートと、少女が出会う老飛行士の語る人形劇パート(…

【コードネーム U.N.C.L.E】久しぶりに会ったあの人が

敵拠点に突入するシークエンス……いや、必要なのはわかるし見栄えもいいけど、うーん、まあこっちでいい感じに処理します。眼目はそこじゃないんですよ。とでも言いたげな編集ぶりがそのまんまナポレオン・ソロのスタイルっぽくて潔い。夜の潜入、特にモータ…

【人生スイッチ】内藤哲也のトランキーロ魂

復讐にまつわる6つの話がオムニバスで語られる。復讐に至るまでの怒りの発露の仕方はアルゼンチンisデンジャラスと思わせるには十分なほどむちゃくちゃで、特に車関係のトラブルは容易に死を招くのではと怯えていたのだが、ラストの結婚式エピソードのまと…

【グリーン・インフェルノ】あくまで真面目なマンイーター

やってることはデロデロだけど映画自体はやたら真面目である。デロデロだからこそこんな真面目な作りにしているんだろうなと思わせてしまうあたりも真面目である。人食い族に捕まるまでそこそこ長く、必要な手続きなんだから待ってね!とお肉を炒める工程の…

【ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲】犬はつらいよがんばれ人間

犬と一緒に娘を預けちゃう母親の無思慮に初っ端ギョッとしたものの、出てくる人物がずっとイライラしていて不可抗力でもなくポロポロと大事なものがどっかに行ってしまい、それはもしかしたら生活のリアリティなのかもしれないけれど、こちらは犬に感情移入…

【アリスのままで】欺瞞なしには現状を説明できないわたしたち

ジュリアン・ムーアの演技がスゴい。というのは事前にわかっているし確かにスゴいのだけれども、そのスゴさが寄与している映画の構造というか特徴が、驚くほどにやっぱりスゴい。 お話を進めるためには事件がいる。人生は出来事の集積だけど、実は何かが起こ…

【ミケランジェロ・プロジェクト】善意と誠意がやってくる

おはなしっていうのはキャラクターがあれば自然とできていくもんなんだよ的なキャラクター原理主義に与したくはないのだけれど、なるほどキャラクターの書き分けはたしかにおはなしを追っていく上でのガイドラインにもなりうるわけで、プロフェッショナルと…

【プリデスティネーション】私は自由、と神が与えた言葉で語る

イーサン・ホーク! なんだかよくわからないけれど、イーサン・ホークを信じる気持ちは常に持っていたいなと思うわけで、彼の眉間の皺には、この世の分類不可能な感情がたぶんたくさん詰まっているという確信がある。 あとは女優さんがほんとに素晴らしくて…

【メイズ・ランナー2】ここはQTEだな……。

中盤までのトーマスとテレサのやりとりを見ていて既視感を覚えていたが、あれだ。『FF7』だ……。 のみならず、話が進むにつれゾンビ(メイズではなくゾンビが出る映画になっていた)の種類が増えて戦闘力も上がっていってそうな感じになる『バイオハザード』…

【ヴィジット】展開が読めたよねという侮りの無意味さ

シャマランを見る視線というものの上を横切る必要がないまま生きてこられたのは私がそれほど映画に淫してこなかったせいなのかもしれないけれど、近作のレビューを見る限り、監督作を前にある程度の留意が必要な作家として認識されているというのはさすがに…